白内障とは
白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気です。
水晶体とは、目の中でカメラのレンズのようなはたらきをする組織で、外からの光を集めて眼底(網膜上)にピントを合わせるはたらきを持っています。
本来は透明な組織ですが、白内障では白く濁ってしまうため、集めた光がうまく眼底に届かなくなり、次のような症状が引き起こされます。
白内障の症状
- 視界が全体的にかすむ
- 視力が低下する
- 光をまぶしく感じる
- 暗いときと明るいときで見え方が違うなど
正常な眼
白内障の眼
白内障の原因と種類
水晶体は主にたんぱく質と水でできています。たんぱく質は、加齢や、長年にわたる紫外線曝露など、さまざまな影響を受けて、だんだんと変化し白く濁ります。その結果、水晶体全体が濁り、視力の低下を招くことになります。
白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるものであり、これを「加齢性白内障」と呼んでいます。個人差がありますが、誰でも年をとるにつれ、水晶体は濁ってきます。加齢性白内障は一種の老化現象ですから、高年齢の人ほど多く発症します。
白内障の種類 | 原因 |
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加齢性白内障 | 加齢 |
全身疾患に合併する白内障 | アトピー性皮膚炎、糖尿病 など |
先天性白内障 | 風疹 など |
外傷性白内障 | 目のけが など |
併発白内障 | ぶどう膜炎 など |
その他 | 放射線、薬剤(ステロイド剤) |
白内障の治療方法
仕事や生活に支障が出ていない初期の場合
視力の低下やかすみが日常生活に支障がない初期の段階では点眼治療が基本です。ただし、薬を使用しても水晶体が透明に戻るわけではなく、あくまで白内障の進行を抑えることが目的です。
仕事や生活に支障が出てきた場合
白内障が進行して日常生活に支障がみられる場合には、外科的手術が行われます。現在では「超音波乳化吸引術」が一般的です。この手術では、濁った水晶体を超音波で粉砕して取り除き、その代わりに人工水晶体である眼内レンズを挿入します。手術後にメガネなどによる視力の矯正が必要な場合があります。
緑内障とは
緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野(見える範囲)が狭くなる病気で、わが国の中途失明原因第1位の病気です。目に入ってきた光は網膜の視細胞で感知され視神経繊維を介して大脳に送られ大脳はその情報をテレビ画面のように画像として組み立てて、私たちは見たものを認識してます。そのため視神経繊維が障害されると、その障害部分の情報が画像化できなくなる。つまり視野が欠けてしまうのです。
わが国で行われた疫学調査では、40歳以上の人口のうち緑内障患者は20人に1人(5%)の割合でした。ほとんどの場合、初期の段階では症状がなく、また一度失ってしまった視野は治療しても回復しないため、症状がない場合でも定期的に眼科検診を受けて、早期発見・早期治療することが重要です。
緑内障の症状
少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。しかし、その進行は非常にゆっくりで、両方の目の症状が同時に進行することは稀なので、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。なぜなら日常生活では両目でものを見ているため、片方の目の視野が一部欠けたとしても、もう片方の目で見えない部分を補うため気がつかないことが多いのです。
そのため見え方がおかしいと気づいたときには緑内障がかなり進行してしまっていることも少なくありません。
初期
鼻に近いあたりや、中心の上の方または下が弓状に見えなくなります。ほとんどの人は気づきません。視野検査ではじめて発見することができます。
中期
見えない部分が増えてきます。視野中心の4分の1程度が欠けると、片方の目だけでみた場合、見えにくいと異常を感じるようになります。
後期
筒から外の風景を覗いているように見えます。歩くと人やものにぶつかったりすることが多くなります。ただし、もう片眼の視野がよい場合、この状態でも気づかないことがあります。
緑内障の原因と種類
緑内障による視神経の障害は、目の硬さである眼圧が、その人の耐えられる眼圧(視神経の眼圧への抵抗力)より上昇することによって引き起こされます。耐えられる眼圧は個人個人で違うため、眼圧が高値にもかかわらず視神経が障害されない人(高眼圧症)もいれば、眼圧が高くない(正常範囲内)にもかかわらず視神経が障害されてしまう人(正常眼圧緑内障)もいます。
眼圧が上昇する原因によって主に原発緑内障、発達緑内障、続発緑内障に分けられ、原発緑内障や続発緑内障はさらに開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障に分けられます。
眼圧は眼の中の水(房水)の産生量と排水抵抗によって決まります。房水は毛様体という部分で産生され→隅角という部分のフィルターにあたる線維柱帯→排水口となるシュレム管を通って眼の外に出ていきます。
原発開放隅角緑内障 |
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房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。 |
正常眼圧緑内障 |
眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。近年行われた全国的な調査の結果から、緑内障の約7割が正常眼圧緑内障であり、また欧米にくらべて日本人に多いことがわかりました。 |
原発閉塞隅角緑内障 |
隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります |
発達緑内障 |
生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。 |
続発緑内障 |
外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。 |
緑内障の治療方法
点眼薬による治療
眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。具体的には、房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって、病気の進行を抑えることができます。
また点眼薬の効果や視野障害が進む速さには個人差があります。そのため症状に合わせて点眼薬を変更したり、追加したりすることもあります。
外科的療法による治療
点眼薬を使っても、視野障害が進行する場合には、外科的治療を行います。レーザーを房水が排出される部分(線維柱帯)に照射し、房水の流出を促進する「レーザー療法」や、手術で線維柱帯の一部を取り除いて房水の逃げ道をつくる「線維柱帯切除術」などがあります。
緑内障とは、一度発症したら一生付き合っていかなくてはならない病気です。自覚症状がないからといって治療を中断せず、根気よく治療を続けていくことが大切です。
治療を中断してしまったら
自覚症状がない為、治療を途中でやめ受診しなくなってしまったりする患者様もいらっしゃいますが、治療中断期間が長いと視野異常も進行します。
遠慮せずに再診してください、ともに治療を再開しましょう。
加齢性黄斑変性とは
加齢黄斑変性とは、網膜の中心部にあるものを見るときに重要なはたらきをする黄斑という部分が、加齢とともにダメージを受けて障害され、視力の低下を引き起こす病気のことです。
近年の急激な高齢者人口の増加や生活習慣の欧米化などに伴い、患者数が増加しています。
加齢黄斑変性の症状
黄斑部が障害されるため、見たい部分の中心部がゆがんで見える、暗くなる、欠ける等の症状がでますが、両目で見ていると自覚してないことが多く片目でみて初めて気づく場合が多いです。
変視症(中心部がゆがむ)
中心暗点(中心部がみえない)
時々片目をふさいで物をみて見え方に異常がないか確認することが大事です。
下記のチェックシートで片目ずつ見てみましょう。
アムスラーチャート
約30cm離して、片目ずつ中心の白い点を見てみましょう。
老眼の方は老眼鏡をかけてみて下さい。
下の図のように見えたら眼科を受診して下さい。
加齢黄斑変性の原因
加齢によって、黄斑部網膜の老廃物の処理する働きが衰え、黄斑部に老廃物などが蓄積し、新生血管と呼ばれる異常血管が出現します。この新生血管はもろく破れやすいため、血液成分が漏れ出したり、出血し網膜の細胞や組織を障害してしまいます。また紫外線による暴露や、喫煙、遺伝、さらに食生活などの生活習慣も危険因子と考えられております。
加齢黄斑変性の種類と治療
萎縮型
加齢により網膜の機能が低下し、ドルーゼンと呼ばれる老廃物が蓄積して栄養不足になります。その結果として、網膜の細胞が徐々に萎縮していくタイプです。有効な治療法はありませんが、病状の進行は緩やかです。しかし、時間の経過とともに新生血管が発生し滲出型に移行することもありますので、定期的に検査を受けることが必要です。
滲出型
網膜の下にある脈絡膜という部分から異常な血管(新生血管)が生えてくることによって起こるタイプです。新生血管はもろく破れやすいため、血液成分が漏れ出したり、出血し網膜が障害されます。病状の進行が速く、急激に視力が低下していきます。
治療は「抗VEGF療法」という新生血管を沈静化させる薬を硝子体内に注射する方法が一般的です。その他にも、光に反応する薬剤を体内に注射し、それが新生血管に到達したときに弱いレーザーを照射して新生血管を破壊する「光線力学的療法」、新生血管をレーザーで焼く「光凝固法」などの新生血管を破壊することで黄斑へのダメージを食い止める外科的治療もあります。
加齢黄斑変性の予防
禁煙
禁煙が最も大切です。喫煙は加齢黄斑変性の最大の危険因子です。たばこがやめられない方は、禁煙外来などにかかり、速やかに禁煙しましょう。
紫外線対策
太陽光などの紫外線は網膜にダメージを与え、加齢黄斑変性になりやすくなります。サングラスで眼を日頃から保護しましょう。
食事のバランス
食事のバランスも大切です。
網膜の細胞を障害する活性酸素の悪影響を軽減するための抗酸化ビタミン(ビタミンE、ビタミンC、ベータカロチンなど)を含む食品、ミカン、大豆、玄米、ニンジン、カボチャや、抗酸化酵素を構成するミネラル(亜鉛など)を含む食品(牡蠣や海藻など)を積極的にとりましょう。
緑黄色野菜、とくに黄斑を保護する作用のある色素ルテインを含む、ホウレンソウ、ケール、ブロッコリーも積極的に食べましょう。
またオメガ3脂肪酸を含むイワシ、サンマ、アジなどの赤身の魚も積極的にとるようにしましょう。
他には、肥満や高血圧、脂質異常症も危険因子と考えられております
糖尿病網膜症
とは
糖尿病網膜症とは、糖尿病によって眼球の奥にある網膜(カメラのフィルムに相当する膜)の血管が傷つき、視力低下から、さらには失明をきたす病気です。糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症の一つで、我が国の成人における中途失明原因の第2位です。
網膜症がかなり進行するまで無症状なことが多いので、糖尿病と診断されたら症状がなくても定期的に眼底検査をする必要があります。
糖尿病網膜症の原因
糖尿病にかかると、血液中の糖分を細胞がうまく吸収できなくなります。血液中の糖分が多い状態が続くと、やがて糖が血管に障害を与えるようになります。目の網膜にある血管はとても細いので特に障害を受けやすく、血管が詰まったり、出血したりするようになります。
血管が詰まると、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとしますが、この新生血管はもろいために血液成分が漏れ出したり、容易に出血を起こします。また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。
糖尿病網膜症の病期と症状
単純網膜症
血糖値が高い状態が続くと、毛細血管が障害され始め毛細血管瘤というコブができたり、血液成分が漏れ出したり(硬性白斑)、小さな出血(点状出血)がおきてきます。
この時期ではまだ自覚症状はありません。
増殖前網膜症
毛細血管の障害が進み、血管が詰る血管閉塞がおきると白い綿のような斑点(軟性白斑)が現れます。また、血管閉塞が広い範囲でおきると、網膜に十分な酸素が行き渡らなくなり、足りなくなった酸素を供給するために新しい血管(新生血管)を作り出す準備を始めます。
この時期でも黄斑部という網膜の中心部が障害されない限り、無症状なことが多いです。
増殖網膜症
進行した糖尿病網膜症で重症な段階です。新生血管が網膜や硝子体に向かって伸びてきます。この新生血管はとてももろく破れやすいため、硝子体に出血することがあります。硝子体は眼球の中の大部分を占める透明な組織です。ここに出血が起こると、視野に黒い影やゴミの様なものが見える飛蚊症と呼ばれる症状を自覚したり、出血量が多いと急な視力低下を自覚したりします。また、増殖組織といわれる線維性の膜が出現し、これが網膜を引っ張って網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こすことがあります。この段階の治療には、手術を必要とすることが多くなりますが、手術がうまくいっても日常生活に必要な視力の回復が得られないこともあります。この時期になると血糖の状態にかかわらず、網膜症は進行してゆきます。特に年齢が若いほど進行は早く、注意が必要です。
糖尿病網膜症の治療
単純網膜症
糖尿病の治療(血糖コントロールの改善)と網膜循環改善薬などの内服薬の服用で進行を防ぐ。
増殖前網膜症
血糖コントロールの改善とともに、網膜の酸素不足を解消し、新生血管の発生を予防したり、すでに出現してしまった新生血管を減らすことを目的として網膜光凝固術を行います。
- レーザー光凝固術
- レーザー光凝固術は、網膜にレーザーを照射して、新生血管の発生を防ぐ方法です。また、出血や白斑も治療できます。この治療で視力が回復するわけではありませんが、網膜症の進行を阻止することができます。
増殖網膜症
網膜光凝固術に加えて、硝子体出血や網膜剥離を伴う場合は、出血を除去したり、剥がれた網膜を戻すため 硝子体手術を行います。
- 硝子体手術
眼球内の圧力を保つために
老視とは
老視とは、遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを合わせる力が衰えることによって、近くのものを見るのが難しくなった状態をいいます。40歳前後からはじまる誰もがなる目の老化で、一般的に「老眼」と呼ばれているものと同じことです。
老視の原因
目の中には水晶体という、カメラのレンズに相当する組織があり、遠くのものや近くのものにピントを合わせる大切なはたらきをしています。近くのものを見るときには、毛様体筋が収縮し、水晶体の厚みが増して近くのものにピントを合わせることができます。 しかし年齢とともに毛様体筋の働きが鈍くなり、水晶体は硬くなるため、水晶体の厚さを変えることができなくなってきます。そのため、近くのものにピントを合わせることができなくなるのが老視です。
ピント調節力は年齢とともに衰えていきます。
たいていの人は、40歳ごろから老視の症状を自覚し始め、45歳くらいで老眼鏡が必要になることが多いです。
老視の原因
初期の老視では、近くの細かい字が読みづらい、また近くから遠くへ、遠くから近くへと距離の違うものにピントを合わせるのに時間がかかるようになってきます。
たとえば、新聞やスマホなどの細かい字を読むとき、以前よりも目から離さないと読みづらくなりますし、少し暗くなると本などの字が読みづらくなります。また、本を読んでいて、ふと目をあげると、窓の外の景色がぼんやりして見え、じっと見ているとだんだんはっきりしてくるというような症状が起きてきます。
そのまま老眼鏡を使わないで見えないのを我慢していると、目の疲れ、目や頭が重い、頭痛がする、肩こりがする、食欲がなくなるなど、眼精疲労の症状がでてきます。
よく「近視の人は老視にならない」と思っている方がいますが、それは間違いです。目に限らず老化現象は誰にでも起こるもの。近視の人でも目の機能は老化します。ただ、近視の人は近方にピントが合いやすく、メガネを外した状態だと近くのモノが比較的よく見えるため、自分が老視であることに気付きにくく、老眼鏡を必要とする年齢は遅くなる傾向はあります。
また「一度、老眼鏡を使うと老眼が早く進行する」と思っている方がいますが、それも間違いです。老眼鏡を使っても、使わなくても目の機能の老化は誰でも65歳頃までは進行します。老眼鏡をかけると無理をしなくても近くが見えるようになるため、老眼鏡を外したときの見えにくい状態がいっそう気になるだけなのです。
むしろ、老眼鏡を使わずに見えにくい状態を我慢していると、目の疲労がどんどんたまってくるので、時の流れに逆らって無理をするより、早めに老眼鏡を作りましょう。
老視の治療
老視の治療といってもピント調節力を若返らせるための治療薬はありません。
初期の老視なら、目に負担をかけないように心掛けましょう。
- 目が疲れたら、まず目を休ませる
- 近見作業をする場合、1時間につき10~15分程度の休憩を取り入れる
- 目の調節機能の改善促す成分の目薬をさす
老眼鏡をつくる。
パソコン、読書など、見たいものの距離に合ったメガネを使うことが大切です。その人の生活スタイルや使い道などによって、処方する老眼鏡は違ってきます。
- 近用専用メガネ
- 遠近両用メガネ・コンタクト
眼科を受診した際には、仕事の内容やどんなメガネの使い方をしたいのか、何を見たいのかなどについて、細かくお話してください。それにより、使用目的に合った、1人1人の患者さんに最適なメガネを処方することができるのです。
また老眼は、年齢とともにさらに進んでいきますので、大体65歳くらいまでは定期的に老眼鏡の度数を変えていくことが必要になります。その間、老眼鏡はだいたい2~3年で合わなくなってきますので、定期検査をかねて眼科を受診し、常に、そのときの自分の目に合った適切な老眼鏡を使用することが大切です。
眼精疲労(VDT症候群)とは
単なる目の疲れであれば、通常は一晩睡眠をとれば回復しますが、十分な休息や睡眠をとっても回復しない状態になってしまったことを「眼精疲労」と言います。現代はパソコン、スマートフォン、小型ゲーム機などを長時間作業することが増加しており、これらのディスプレイを長時間見続けることで目や、身体、精神に支障をきたす病気のことを「VDT症候群」といいます。
眼精疲労・VDT症候群の症状
- 目の症状
- 目が疲れる・目の奥が痛む・目が乾く・かすむ・充血する・物がぼやける・視力が落ちる・まぶたの痙攣など
- 身体の症状
- 肩がこる・首から肩、腕が痛む・腰痛・頭痛・だるい・背中や手指がしびれるなど
- 精神の症状
- イライラする・抑うつ状態・不眠・倦怠感など
眼精疲労・VDT症候群の原因
長時間の近方視
現代の日常生活では、デスクワークやスマホなど近くを見ることが圧倒的に多くなっています。
目が良い方、遠くが見える方は、遠くが見える反面、近くを見るときはピントを手前に調節する必要があります。近視でメガネをかけている方も、見かけ上、遠くが見やすくなっている状態ですので、手元にピントの位置を調節する必要があります。つまり日常生活のほとんどの時間で、目はピント調節を続けている状態です。その時間が長くなれば長くなるほど、目にかかる負担は大きくなり、疲れてしまうのです。
目のピント調節をアシストし、近くを楽に見ることができる
近くを見るときに目が疲れるのは毛様体筋(ピント調節筋)の疲れが原因の一つです。
遠くを見ている時は、毛様体筋(ピント調節筋)がリラックス状態になっていますが、近くを見る時は水晶体を厚くさせるために毛様体筋が働き緊張状態となります。
この動作が繰り返し行われると目の疲れへと繋がります。
また、ピントを調整する力は年齢とともに衰えてきます。そのため老眼がでてくる年齢から眼精疲労の方も増えてきます。
強すぎるメガネ(コンタクト)
遠くがしっかりと見えるメガネ(コンタクト)が必ずしも良いメガネ(コンタクト)とは限りません。
例えば一日デスクワークをして、目が疲れて見えにくくなっているときに検査をしてみると近視が実際よりも強くなっていることがあります。このようなタイミングでメガネ(コンタクト)を作り直すと、実際よりも強い度数のメガネ(コンタクト)になってしまうことがあります。このようなメガネ(コンタクト)は目に過度のピント調節を強いることになり、眼精疲労の原因となります。
最近、見えにくくなったレンズの度数を上げてもらったばかりなのに、またすぐに見えにくく感じる。このようなときは過矯正になっていないか、レンズ度数のチェックをおすすめします。
遠視・ 近視・乱視・老眼やその矯正不良
遠視・近視・乱視・老眼などにより、網膜にピンボケの像が映っていると、ピントを合わせようとして、水晶体(レンズ)の厚さを調整する筋肉が緊張し続けます。
また目を凝らしたり、首を前に出す姿勢になるため、それらの結果、目が疲れ、首筋や肩が凝ったりするのです。
パソコンなど作業をする位置(距離)にきちんと合わせたメガネを装用することが必要です。
ドライアイ・白内障など
ドライアイや白内障などの疾患があると、見ている像が乱れたり、眩しくなるため、眼精疲労の原因となります。
眼精疲労・VDT症候群の治療
眼精疲労の治療は、まずその原因を排除することが重要です。
パソコンやスマートフォンを長時間使用することが多い場合には、1時間に1回、10~15分程度の休憩をとりましょう。
度数の合わないメガネやコンタクトレンズが原因であれば適切な度数のものに作り直します。
ドライアイが原因であれば目に潤いを与える点眼薬、その他疲労回復に効果のあるビタミン剤の配合された点眼薬や内服薬などの処方をします。
その他、肩こり体操や目の体操、ホットアイマスク、ストレス発散も効果的です。
また、VDT作業時の環境にも気を付けましょう。
VDTから子どもの目を守ろう
近年では多くの子供が、テレビゲームやポータブルゲーム、モバイル端末を使ってゲームをしています。またこれからはVDTを使用してのVDT学習が増えることが予想されます。
ゲーム時間が長くなると、目が疲れる、肩がこる、頭が痛いなどの症状が、子供でも起こすことがあります。また近視化の原因にもなります。
- 長時間のゲームは禁物!
- 30分以内ならば許容範囲、長くても1時間以内にしましょう。
- 外で元気に遊びましょう
- 戸外で遊ばせることで、身体の緊張をほぐし、目の症状をやわらげることができます。。
- 食事はかたよらないように
- 好き嫌いをなくして、栄養バランスのとれた食事を心掛けることも大切です。
ドライアイ
とは
ドライアイとは、目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気で、目の表面に傷を伴うことがあります。いわばドライアイは涙の病気といえます。高齢化、エアコンの使用、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者さんも増えており、その数は2,200万人ともいわれています
「涙」は目の表面をおおい、目を守るバリアのようなはたらきをしています。
目の乾燥防止はもちろん殺菌、洗浄、栄養補給も行っています。また目の表面を均一に湿らすことにより鮮明な像を見ることができるのです。
また、「まばたき」は、涙の分泌を促す刺激になったり、目の表面に涙を均等に行きわたらせるはたらきを担っています。何かを集中して凝視する作業はまばたきが減少するため注意が必要です。
正常な目の表面とドライアイの目の表面
ドライアイの症状
ドライアイの方は、単に目が乾きやすいといった症状だけでなく、様々な症状に悩まされていることが多いです。
下記のチェックシートで5項目以上が当てはまる方はドライアイの可能性が高いので一度眼科でのドライアイ検査をおすすめします。
ドライアイチェックシート
下記の症状にチェックを入れてみてください。軽い症状でも長時間なくならない症状にはチェックを入れてください。
- 目が疲れやすい
- 目が痛い
- 目やにが出る
- 目がゴロゴロする
- 理由もなく涙が出る
- 物がかすんで見える
- 目がかゆい
- 目が重たい感じがする
- 目が赤くなりやすい
- 何となく目に不快感がある
- 目が乾いた感じがする
- 光をまぶしく感じやすい
チェック項目が
5つ以上なら
ドライアイの
可能性があります。
ドライアイになりやすい要因
年齢
年を重ねると、涙を作る涙腺の機能が低下し、涙の分泌量や質が低下します。
性別
女性のほうが男性よりドライアイになりやすいことが知られています。
長時間運転、パソコンなどの長時間作業
長時間の運転やパソコン、スマートフォンなど、モニターを見つめる作業を長時間行うことで、まばたきの回数が通常の1/3~1/4に減少し、ドライアイ症状が起こりやすくなります。
乾燥した環境
冬の乾燥した季節でドライアイが悪化する人は数多くみられます。また、エアコンの吹き出し口に当たるところなどでも症状が悪化します。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズ装用は、涙が蒸発しやすくなり、ドライアイ症状が起こりやすくなります。
喫煙
たばこの煙に曝されると、涙の状態が悪くなることが知られています。
内服薬
一部の血圧を下げる薬や向精神薬など「抗コリン作用」を持つ薬では、涙の分泌量が減少することがあります。
点眼薬
点眼薬の中には、涙の安定性を低下させ、また角膜に障害を与えやすくなる成分が含まれていることがあります。ドライアイでは、点眼薬の中に含まれる防腐剤などによる障害も起こりやすくなります。
マイボーム腺機能不全(MGD)
眼瞼の縁にマイボーム腺という油を出す部位があります。加齢に伴ってマイボーム腺が詰まり、涙にとって重要な油が出にくくなります。
結膜弛緩症
加齢に伴って、結膜部分(白目の部分)が弛み、眼表面で涙が留めにくくなります。また、弛んだ結膜が瞼と触れやすくなり、摩擦によって眼表面に傷がつきやすくなります。
全身の病気に伴うもの
シェーグレン症候群という、涙腺、唾液腺に対する自己免疫疾患では、強いドライアイを生じることがしばしばみられます
ドライアイの治療
少なくなった涙を補充する目的で、水分を補給するための点眼薬や潤いを保つための成分を含む点眼薬などを使います。最近では、ムチンや水分の分泌を促す成分を含む目薬が新しく発売されています。 しかし、点眼薬でコントロールできない場合は、涙の排出を抑えるために、涙の排水口である涙点を閉じる治療を行うことがあります。
- 人工涙液点眼液
- 減少してしまった涙の水分を補ったり洗眼するための目薬です。点眼後、短時間で吸収・排出されてしまうので、ドライアイ治療にはこまめに(1日5~6回)点眼します。
防腐剤による角結膜障害の危険もあるので、防腐剤の入っていない人工涙液を使用します。 - ヒアルロン酸製剤点眼液
- ヒアルロン酸の保湿作用を利用し、水分の蒸発を防いで眼球表面にとどまる涙の量を増やす目薬です。人工涙液に比べて効果の持続時間が長いとされています。
- ジクアホソル点眼液
- 水分やムチンの分泌を促すことで、涙の量を増やす目薬です。ムチンが増えるために涙の安定性も向上します。点眼後に目がしみたり、目やにが増えることがあります。
- レバミピド点眼液
- ムチンの分泌を促して涙の安定性を高めたり、角結膜の炎症を抑えたりしてドライアイを改善します。ムチンを分泌する細胞の数そのものを増やす作用もあります。点眼後に目がかすんだり、苦味を感じることがあります。
ドライアイの対策
周囲の環境によって、涙が蒸発しやすくなり、目が乾きやすくなります。特に、パソコン、エアコン、コンタクトレンズの使用状況を改善することは、ドライアイの症状を和らげるのに効果的です。
-
目を大きく見開かずに済むように、パソコンの画面を目より下に置く。
パソコンを長時間使用するときはこまめに休憩をとり、意識的にまばたきをするように心がける。 -
エアコンの風に直接当たらないようにする。また、エアコンが効いている室内は乾燥しやすいので、加湿を心がける。
-
コンタクトレンズは正しい使い方を守る。
コンタクトレンズを使用している方は、していない方に比べて涙が蒸発し、減りやすくなる。
目の乾きが気になる場合は、涙の不足を補うために目薬を使用したり、加湿器や保湿用メガネを使用する。
すずむら眼科では実際の涙の状態や、目の表面の状態を患者様にモニターで見ていただき、ご説明いたします。
花粉症(アレルギー性結膜炎)とは
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)が付着して、結膜に炎症を起こす病気です。結膜とは、まぶたの裏側と白目の部分を覆っている半透明な粘膜のことです。
花粉などが原因の、特定の季節にのみ症状があらわれるものを「季節性アレルギー性結膜炎」といい、ダニやハウスダストが原因で一年中症状がみられるものは、「通年性アレルギー性結膜炎」といいます。重症のものでは、子どもやアトピー性皮膚炎の人に多くみられる「春季カタル」、ソフトコンタクトレンズを使っている人にみられる[巨大乳頭結膜炎]などがあります。
アレルギー性結膜炎の原因
私たちの体は、体内に侵入した病原体(細菌やウイルス)などの異物(抗原)に対し、抗体という抵抗力をつくりだし、病原体をやっつける力をもっています。これが「普通の免疫反応」で、病原体から私たちの体を守ってくれています。
ところが、体内に侵入した異物に対し体が過敏に反応しすぎると、かえって私たちの体に不都合な結果をもたらすことがあります。これが「過剰な免疫反応」、つまりアレルギーです。
-
1
花粉などのアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が目に侵入します。
-
2
身体を守っている免疫細胞(肥満細胞)の働きが活発になり、ヒスタミンという物質を大量に放出します。
-
3
ヒスタミンは、目の知覚神経などを刺激して炎症(充血やかゆみ)を引き起こします。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎では次のような症状が引き起こされます。
- 目のかゆみ
- 目の充血
- 目の異物感
- 目やにが出る
- 涙が出る
- まぶたが腫れる
- まぶたの裏にぶつぶつができる
- 白目がブヨブヨになる
アレルギー性結膜炎の種類
季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)
花粉が原因で生じるアレルギー性結膜炎です。
原因となる植物によって、毎年同じ季節に症状が発生します。
通年性アレルギー性結膜炎
常に身近にあるダニやハウスダストが原因で生じるアレルギー性結膜炎です。ハウスダストとは、家の中に舞っているホコリやチリ、カビ、フケ、ペットの毛などを指します。
これらは花粉と違って季節に左右されないので、症状が一年中現れるため「通年性」と呼ばれます。
春季カタル
子どもに多い慢性重症型のアレルギー性結膜炎で、特に小学生の男の子に多く見られ、激しい目のかゆみや白い糸状の目やにがたくさんでます。上まぶたの裏側の結膜が隆起(石垣状乳頭)したり、黒目と白目の境目が腫れてきたりします。症状は角膜(黒目)にも及び、びらん(粘膜や上皮のただれ)や潰瘍ができることがあります。この段階では目のかゆみ加えて痛みも出てきます。潰瘍が治りかけたときには白いかさぶた状の角膜プラークができて視界の邪魔をすることがあり、これによって視力が落ちることがあります。
(石垣状乳頭)
(角膜プラーク)
症状は1年中でますが、春など季節の変わり目に悪化することが多いです。思春期ころに自然に治る場合もありますが、アトピー性皮膚炎が治りにくいと、大人になっても症状が続くことがあります。
巨大乳頭結膜炎
コンタクトレンズについたタンパク汚れに対するアレルギー反応が原因で生じるアレルギー性結膜炎です。目のかゆみのほか、コンタクトレンズが曇る、レンズが上方にズレる、粘着性の目やにが出るなどの症状があり、まぶたの裏側にはぶつぶつとした突起(乳頭)ができます。
アレルギー性結膜炎の診断
アレルギー性結膜炎は、充血やかゆみなどの症状や結膜の状態から診断します。
また、どの抗原(アレルゲン)に反応しているかを知るために、血液の抗原特異的IgE抗体濃度を測定することで原因物質を知ることができます。
すずむら眼科では、指先からの簡単な採血で、20分で結果がわかるアレルギー検査を導入しております。痛みもほとんどないため、成人はもちろん、小さなお子様にもお勧めです。お気軽にご相談ください。
アレルギー性結膜炎の治療
アレルギー性結膜炎の治療の基本は、薬物療法です。
抗アレルギー点眼薬
- メディエーター遊離抑制薬点眼薬
- 肥満細胞からアレルギー症状を起こすヒスタミンなどの物質(メディエーター)が出ないようにします。
- 抗ヒスタミン薬点眼薬
- アレルギー症状を起こすヒスタミンが、血管や神経にある受容体(ヒスタミンH1受容体)に結合しないように作用します。
ステロイド点眼薬
抗アレルギー点眼薬で効果がない時や、症状が重い場合に使用します。
上記の抗アレルギー点眼薬に比べて効果が強い反面、眼圧上昇や、感染症リスクなどの副作用が出る可能性がありますので、必ず指示を守って点眼してください。
免疫抑制点眼薬
春季カタルで上記の抗アレルギー点眼薬、ステロイド点眼薬で改善しない場合に使用します。
アレルギー性結膜炎の初期療法
症状の出る時期が予測しやすい、花粉などが原因のアレルギー性結膜炎の場合、症状が出る前の花粉飛散開始の約2週間前から、または症状が少しでも出てきたらすぐに、抗アレルギー点眼薬による治療を始める事で発症を遅らせたり、花粉飛散ピーク時の症状を軽くすることができます。このことを「初期療法」といいます。
毎年花粉症がひどい場合は、症状があらわれる前に受診することをおすすめします。
アレルギー性結膜炎の対策
アレルギー性結膜炎に関わらず、アレルギー性疾患の基本対策は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に接触しないように日常生活を工夫することです。
花粉対策
- 外出時はメガネ、マスク、帽子を着用する
- 帰宅時に衣類や髪に付いた花粉を払い落とす
- 帰宅後は手洗い、うがい、洗顔を心掛ける
- 洗濯物、布団は花粉を払い落としてから取り込む
ハウスダスト対策
- 掃除機でこまめに掃除をする
- ホコリが溜まりやすい場所は、濡れ雑巾などで拭く
- たたみやじゅうたんはダニが繁殖しやすいため、床はフローリングにする
- 布団は天日干しをする
コンタクトアレルギー対策
- コンタクトレンズの装用を中止する
- 1日使い捨てコンタクトレンズに変更する
感染性結膜炎
とは
感染性結膜炎とは、細菌やウイルスが目に感染し、白目の一番表面の膜である結膜に炎症を起こす病気です。目に不快な症状があらわれることがほとんどですが、プール熱のように目の症状だけでなく、のどの痛みや発熱といった、かぜに似た症状を引き起こすこともあります。
感染性結膜炎の症状
- 目が赤い(充血)
- 目ヤニがでる
- 目がゴロゴロする
- 涙がでる
- のどが痛い、熱がでる(プール熱の場合)
- 耳の前や顎の下にあるリンパ節が腫れる(ウイルス性の場合)
感染性結膜炎の原因と種類
感染性結膜炎の原因には、大きく分けて、<細菌>による感染と、<ウイルス>による感染があります。
細菌性結膜炎
原因菌はインフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などです。黄色ブドウ球菌は、健康な人ののどや鼻、皮膚、手指、毛髪、腸管などにいる常在菌です。感染力は弱いのですが、目にケガをしたとき、病気などで身体の免疫力が落ちたとき、子どもの場合は、感染しやすくなります。
ウイルス性結膜炎
原因ウイルスの多くはアデノウイルスです。アデノウイルスは感染力が強く、多くの場合は人から人へと感染するので、注意が必要です。「はやり目」や「プール熱」もアデノウイルスによる感染性結膜炎です。
その他、エンテロウイルス、ヘルペスウイルスも原因ウイルスとなります。
感染性結膜炎の治療
細菌性結膜炎の治療
抗生剤点眼によりほとんどの場合1週間程度で治ります。
ウイルス性結膜炎の治療
アデノウイルスに対する有効な薬剤は残念ながらありません。感染したウイルスに対する抗体が体内で作られるのを待つしかありませんが、症状を和らげる目的で、炎症を鎮める効果のある非ステロイド性抗炎症点眼薬やステロイド点眼薬が使用されます。また、抵抗力が落ちている結膜に細菌が二次感染しないように、予防的に抗菌点眼薬を使用します。
通常10日前後で軽快してきますが、このころに黒目(角膜)に点状の小さな濁りが生じてくるため目がかすんだり、視力が低下することがあります。この混濁は治療に数カ月かかることがあります。
ヘルペスウイルスに対しては抗ヘルペス作用がある薬剤があるため、その眼軟膏や場合によっては内服薬を使用します。
ウイルス性結膜炎の感染予防
- 目をこすらない
- 触れたところはアルコールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
- 手をこまめに洗う
- タオルを家族と共有しないようにするか、ペーパータオルにする
- お風呂は最後に入るか、シャワーなどですませる
- 洗濯ものは別々にする
- 学校や職場は医師の指示があるまでお休み
感染性角膜炎
とは
感染症角膜炎とは、角膜に細菌やカビ、ウイルスなどの微生物が感染して、炎症を起こす病気のことです。角膜とは黒目にあたる部分で、表面は角膜上皮という組織で覆われており、簡単には微生物が進入できないような構造になっています。
しかし、なんらかの原因で角膜に傷が付いていると微生物が付着し繁殖しやすくなり感染症角膜炎が引き起こされます。
感染性角膜炎の症状
- 目の痛み
- 目がゴロゴロする
- 目の充血
- 目がかすむ
- 涙が出る
- まぶしい
- 黒目が白くなる など
感染性角膜炎の原因と種類
細菌性角膜炎
細菌によって起こる感染性角膜炎です。ゴミや砂などの異物が目に入ったり、コンタクトレンズの装用で角膜にキズがついたりしたときなどに起こります。細菌の種類によっては病状の進行が非常に早いものもあり、放置した場合、角膜が融けて穿孔(孔が開くこと)することさえあります。また、治療によって細菌が除去できたとしても、角膜に濁りを残して視力が低下したままになってしまうこともあります。
真菌性角膜炎
カビ(真菌)によって起こる感染性角膜炎です。植物の枝で目を突いてしまったとか、土埃のついた異物が飛入したなどの外傷、ソフトコンタクトレンズの連続装用、ステロイド剤の長期点眼などにより起こることがあります。細菌性のものに比較して、症状が出るまで日数がかかるのが特徴です。
角膜ヘルペス
ヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスによって起こる感染性角膜炎です。ヘルペスウイルスは多くは乳幼児の頃に初感染を起こし、身体の中の神経組織(神経節細胞)に潜んでいます。
一旦、神経組織に潜んでいるウイルスは、発熱、紫外線被爆、ストレスなどをきっかけにして再び活動を開始し、神経を伝って角膜へ移動して角膜炎を起こします(再発)。
治療により完治しても、体調が不良になったときなどに再発することがあり、再発を繰り返すと、角膜に濁りを生じて視力障害を残したり、角膜が薄くなって穿孔したりすることもあります。
アカントアメーバ角膜炎
池や沼などの淡水に広く分布するアメーバという目にみえない微生物によって起こる感染性角膜炎です。アカントアメーバ角膜炎を発症した人のほとんどはソフトコンタクトレンズ使用者です。アメーバは水道水の中にも存在していて、毎日使い捨てにしなければならないレンズを再度装用したり、再装用可能なレンズでもこすり洗いやすすぎなど、日常の手入れに問題があり、アメーバにより汚染されたコンタクトレンズを装用することにより起こります。細菌性角膜炎と似た症状ですが、激しい目の痛みを感じることが特徴です。
感染性角膜炎の治療
細菌性角膜炎
抗菌薬による治療が基本となります。細菌の種類に応じた抗菌点眼薬の点眼と、状況に応じて、抗菌内服薬や点滴薬が使用されます。治療期間は症状によって異なり、数カ月かかる場合もあります。
真菌性角膜炎
抗真菌点眼薬の点眼に加えて、抗真菌内服薬または点滴薬を組み合わせた治療が基本になります。治癒するまで長期間要することもあります
角膜ヘルペス
抗ウイルス薬の眼軟膏を使用し、重症例には内服や点滴を行うこともあります。また、いったん完治しても体調が不良になったときなどに再発すること度々があります。
アカントアメーバ角膜炎
アカントアメーバの特効薬はありません。濁った角膜を削り取ったり(病巣そう爬)、抗真菌点眼薬の点眼、抗真菌薬の点滴投与を組み合わせた治療が基本となりますが、きわめて治りにくいのが特徴です。
飛蚊症
とは
飛蚊症とは視界にごみや虫のようなものが飛んでいるように見える症状のことです。目を動かしても、影は同じ方向に移動しかつ細かく揺れるので、その名のとおり目の前を蚊が飛んでいるように感じます。ただし、影の形は、糸状のものやリング状のものなどさまざまです。いつもは気が付かなくても、白い壁を見たときや空を見たときに現れることが多いです。ほとんど場合は、加齢などの生理的変化によるもので、心配いりませんが、なかには網膜剥離など重篤な疾患の前触れであることがあるので注意が必要です。
飛蚊症の原因
飛蚊症の原因は、特に治療が必要でない「生理的」なものと、治療をしないと視力が傷害されることがある「病的」なものに分けられます。
生理的飛蚊症
眼球内には卵の白身に似た透明なゼリー状のものがつまっています。これを硝子体(しょうしたい)と呼びます。この硝子体は、99%以上が水分で、わずかに線維を含んでいます。若いときには透明で濁りがありませんが、加齢に伴い濁りが出てきます。もう少し詳しくいえば、年齢が進むとともに線維と水分が分離して中に空洞を形成します。それがさらに進行すると眼球の内壁から硝子体が離れて、線維の塊が眼球内をふわふわと浮いた後部硝子体剥離と呼ばれる状態になります。この線維の塊は、ものを見ている本人には影として認識されますが、これが飛蚊症の本態です。線維の塊はゼリー状硝子体の中を漂うので、影はゆらゆらと揺れます。そのため、それはあたかも蚊が目の前を飛んでいるかのように見えるのです。硝子体剥離自体は病気ではありませんが、網膜裂孔や網膜剥離という病気を引き起こすことがあるので注意が必要です。飛蚊症自体は完全に消えることはありません。しかし慣れてくると、普段はその存在に気付かなくなります。
病的飛蚊症
飛蚊症を自覚しても問題のない場合がほとんどですが、なかには次のような重大な目の病気の一症状であることがあります。
- 網膜裂孔・網膜剥離
- 網膜に穴が開いてしまったり(網膜裂孔)、網膜が剥がれてしまった状態(網膜剥離)では、しばしば飛蚊症を自覚します。光視症(視界の中に閃光のようなものが見える症状)を自覚することがありますが、無症状のこともあります。病状が進んでくると視野欠損(カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状)や視力低下が起きます。網膜には痛覚がないので、痛みはありません。適切な治療を行わないと、失明する危険性が高い病気といえます。
- 硝子体出血
- 糖尿病や高血圧、外傷など様々な原因で硝子体の中に出血することがあります。ひどい出血の場合は、目の前に墨が垂れてきたような見え方や、霧がかかったような見え方をしますが、出血が軽度の場合は飛蚊症として自覚されることがあります。最初は軽症であっても、日に日に影が濃くなるようであれば、出血が続いていると考えられます。
- ぶどう膜炎
- 一部のぶどう膜炎では硝子体に濁りを生じるため、飛蚊症を引き起こします。ぶどう膜炎の場合は、羞明感(まぶしく感じること)・眼痛・霧視(かすみがかかったように見えること)・充血・視力低下を伴うことが多いです。
飛蚊症の治療
生理的飛蚊症
多くの場合はこの生理的飛蚊症であり、治療の必要はありません。
病的飛蚊症
このタイプの場合はそれぞれその病気に対しての治療が必要になります。早めに治療した方が治り方がよいことはいうまでもありません。飛蚊症を自覚したら「生理的飛蚊症」なのか「病的飛蚊症」なのかを鑑別するために、早めに眼科を受診することをおすすめします。
麦粒腫
とは
麦粒腫とは、まぶたにある脂や汗を出す腺に細菌が感染して起こる急性の化膿性炎症のことです。汗を出す腺や、まつげの毛根に感染した場合を外麦粒腫、マイボーム腺の感染を内麦粒腫と呼びます。
地域によっては「ものもらい」、「めばちこ」、「めいぼ」、「ばか」などともいわれますが、学術的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」といいます。
麦粒腫の症状
初めはまぶたに局所的な赤みが出現し、しばしば軽度の痛みや痒みを伴います。炎症が強くなってくると、赤み・腫れ・痛みが強くなります。化膿が進むと、腫れた部分が自然に破れて膿が出ることがあります。膿が出てしまえば、その後症状は回復に向かいます。
麦粒腫の原因
健康な人ののどや鼻、皮膚、手指、毛髪、腸管などに常在している黄色ブドウ球菌という細菌の感染が原因です。黄色ブドウ球菌は感染力が弱い細菌ですが、目にケガをしたときや病気などで身体の抵抗力が落ちたときに目をこすったりすると、ものもらいができることがあります。
麦粒腫の治療
抗生物質の点眼や軟膏、内服を行います。化膿が進んだ場合は切開して膿を出すこともあります。汚い手で目をこすったりしないよう注意が必要です。
治療の際に気を付ける点
麦粒腫は、他の人にうつる病気ではありません。ただし、汚れた手で患部をいじると、治りが遅くなったり、完治しても再発したりする場合があります。患部を不必要に触らないようにしましょう。
霰粒腫
とは
霰粒腫とは眼瞼(まぶた)にあるマイボーム腺とうい脂をだす腺の出口がつまって慢性的な炎症が起きる結果、肉芽腫という肉の塊(しこり)ができる病気です。麦粒腫と異なり、通常は細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。
マイボーム線の位置
正常
マイボーム線は、まぶたの縁(ふち)から脂肪を分泌し、涙が外へこぼれるのを防いだり、涙の表面をおおって、その蒸発を防いでいます。
霰粒腫
マイボーム線が炎症を起こし脂肪分が詰まったため、しこり(脹れ)ができます。
霰粒腫の症状
症状は眼瞼の腫れや異物感です。典型例では痛みも赤みもなく、眼瞼にコロコロとしたできもの(しこり)のみを触れます。細菌感染を伴った場合は、まぶたの腫れ、痛み、赤みといった麦粒腫と似たような症状が出ることがあり、これを急性霰粒腫と呼びます。
霰粒腫の原因
マイボーム腺が詰まる原因は、ホルモンバランスの乱れで分泌液の粘度が高まってしまうことや、化粧品などでマイボーム腺の出口が詰まってしまうことなどが挙げられます。また、油脂の多い食生活も原因の一つと考えられています。
霰粒腫の治療
点眼薬や軟膏により吸収を促す治療を行います。腫瘤(しこり)の大きさにもよりますが吸収に数週間から数カ月かかる場合があります。また、最終的に腫瘤が残ってしまった場合手術で摘出する場合もあります。高齢者で腫瘤(しこり)が大きくなっていく場合や、繰り返す場合は悪性腫瘍との鑑別が必要になることもあります。
霰粒腫の予防
- 普段から汚れた手で目をこすったりしないよう、目の周りを清潔に保ちましょう。
- 脂腺が詰まりやすくなるため、油脂の多い食べ物には気を付けましょう。
- ホットアイマスク等は脂腺の排出がスムースにします。